担任でもない
学年主任に呼ばれて
俺、なんか
したかな、って。
「ちょっと、いいか?」
あまりいい予感は
しないんだけど。
「はい、いいっすよ?」
だからと言って
断わる理由もなくて、
いつも通りの
外面営業スマイルで
先生の後について行く。
進路指導室に通されて、
まぁ座れ、って。
落ち着かないんすけど。
「なんか用ですか?
十時センセ。」
「その面、やめろよ。」
十時(ととき)は
去年の担任。
今のところ、
一番、俺を
知ってる人なのかも。
なんて、俺も信用
しちゃってるんだけど。
「顔は生まれつき。」
「俺に外面みせて
どうすんだよ、今更。」
こんな普通の会話も
久しぶりかな、。
「で?何、用事?」
「あぁ、頼み事。」
「へぇ、珍し。
センセ、高くつくよ?」
「はいはい、
本題入るぞ。」
冗談もここまでにして、
先生の声に耳を傾ける。
「来週、転入生が
来るんだがな……」
「F?」
「残念M、男だよ。」
まぁ、女でも顔がないと
意味ないんだけど。