「さあ、話せ」

「そうさせてもらおう」


あいつは何故か深呼吸してから語り出した


正直気持ち悪い気もしなくはないが黙って聞いておくとしよう



「俺とお前は腐れ縁だ

だがそれは、俺がお前と同じ高校を志望しお前と同じ大学を志望したことによって作られた偶然だ」


「...つまり、お前はストーカーだったのか?」


「人聞きの悪い...

今思えば、お前の方こそよく俺の教室に来てただろう」


「人聞きの悪い、私はただぼっちなお前が可哀想だっただけだ」


「...愛の力はすごいな、刺々しいしい言葉さえ照れ隠しにしか聞こえなくなってしまった」


「気持ち悪い事を言うな

愛の力?
そんなものがあるわけないだろう」


「俺はなぜこんな女を愛してしまったんだ」


「.........何言ってるんだ、気持ち悪いぞ」


「そんな真っ赤な顔で言われたら、誰でも勘違いするだろう

それで、実際のところはどうなんだ?」


夢だ、これはきっと夢なのだ


都合の良い夢だな、夢オチなんて目に見えている


「何故ほっぺをつねってる...」


「夢だ、これは夢だ

私の頬を叩いてくれ」


「...よし、構えろ」


この男...本気で叩く気か


「...いや、止めておく」


「そうか、残念だ」


本気で残念そうな顔をされてしまったが、私は悪くない


「ところで」


「...なんだ?」


「私はお前の妻になるのか?」


「.........あぁ」


「なってやらんこともない」


「仕方ない、今回ばかりは負けてやる」


そう言って、抱きしめられた


こいつと初めて、距離がゼロになった


夢見てた


夢に見ては叶わない事実を再確認して枕を濡らした



私はやっと、夢見たこの恋にやっと終止符をつけた


そしてこいつの隣と言う特等席を手に入れたのであった





Fin