...あいつは一向に帰ってこない


待っておけと言われたから待っているものの...


さすがに夕暮れ時になってまでまだ待っているほどの寛大さを私は持ち合わせていない。



「...帰るか、」


扉の方を向き、鞄から家の鍵を取り出す。


こういう時になかなか見つからないのは私がちゃんとキーケースに付けていないからだろうか、


なかなか見つからない。




「何帰ろうとしているんだ?」


「...遅い、

人を待たせるのにも限度というものがあるだろう」


「まぁ、今こうして帰ってきたのだからいいではないか」


「そういう問題ではないだろう...」


「まぁ良い。

さっさと終わらせよう」


「そうだな」