「...好きだったんだ、前から」


「...」


思わず漏れた告白の言葉


あいつは何も言わない


なので続けた



「なかなか言えなくて今更になった


結婚決まってよかった、

おめでとう。

お幸せにな。」



答えは決まっているから...

椅子から降り、その場を後にした。


店を出てしばらく歩いてから気付いた、


お金払ってなかった...


払いに戻った方がいいだろうか?



いや、しかし...


またあいつに会うのも気まずい...



まぁ、祝儀のお金を多めに入れればいいか...




失恋した女がこんな事を考えるなんて...と思いかけて止めた。


失恋なんて、とっくの前からしている。



あいつから距離を取られている時点でそうではないか、



私は、最初から失恋していたのだ。



恋の相手にすら、立候補させてもらえなかったのだ。



最初から気付いていた、一生叶わないと。


一生報われないと。



知っていたから知らぬふりしたかった。



こう改めて突き付けられるとなかなか悲しいものだと思う。