突然ですが、私は……
「ひろぉー、キスしてー」
「おー、いいよ」
チュッ
「……あ、ありがと////」
うわ、またやってる……。
今女子にキスしたあいつが嫌いです。
遠目で真田と呼ばれる男と周りの女子たちを見ながら日直の仕事である黒板消しをする。
「相変わらずのモテ具合…」
「真田の周りに女子いないことなんてないもんね?」
だよねーなどと、私の幼なじみの健太と親友の花梨が教卓に肘をついて話す。
真田 宏夢。
イケメンだとか、カッコイイだとか
ちやほやされて、
誰もをメロメロにさせる怖い男子。
さらには女子にお願いされたら断れないとか言うチャラ男。
「キスって好き同士するもんじゃないの!?」
黒板消しを片手に親友たちに問う。
教卓に身を乗り出す私に健太が肩をポンポンと叩く。
「まー、それが普通だけどなー。ってか、ひなた顔怖いから。まず、落ち着けって…どうどう」
「かっこいいからいいじゃーん!あたしはアリだと思うけどなぁ♪」
「まぁ、人それぞれだよな。……ひなたは本当に真田嫌いだよな」
っていうか!
「真田くんも日直なのに全然仕事しないんだけど!!」
届かないじゃんかよぉ〜〜〜!!
そう思ってた時……
ト、ン…
何かと振り返るとそこに居たのは紛れも無い。
さっきまで女子に囲まれてた真田がいた。
「宮野ーそんなに怒んないでよ、ね?許して?」
顔を近づかせ、耳元で言う。
……ピキッ
今のが地雷だとは真田がわかるはずもなく。
これはいわゆる壁ドンってやつですね…。
普通の女子ならこれは顔を赤くして黄色い悲鳴をあげるだろう。