永空…。


思い当たる名前じゃない…



あっ、みんな読めてる??

アイツの名前は


永空って書いて「かなた」って読むの!!
間違えないで!!



でも、やっぱり知らないよなぁ…。




○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○


俺は屋上によく来る。


それには理由がある。


昔…。の話だけど、俺は鮮明に覚えている。



アイツが、倖が、俺の心を開いたんだ。





俺は、当時不登校だった。
小学生のころだ。

学校なんて詰まんなくて、授業なんて簡単で。
正直行かなくていいとおもってた。



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――ピーンポーン


「はぁい」


家のチャイムが鳴って、親が接待。

いつも通りだった。



「永空!!あんたに客!!」



そう言って、台所に戻っていく親を、
階段の上から俺はただ見つめていた。


俺に客??からかってんのか??


俺が渋々階段を下りて玄関に向かうと、そこには一人の女が立っていた。



「あなたが永空君??」


「お前誰??」


ずいぶん冷たく言い放ったな俺。