あずちゃんはお人形さん。


それもピクリともしない“コミュ障”なお人形さん

知らない大人と話せなければ
子供なんてもっと話せなかった。


母のいう「お友達」は
子どもの教育番組に出てくる
たくさんの子ども達のことだと思った

テレビの中でお兄さんと一緒に
体操を踊ったりお話してる─




入園の日


毎日のお散歩ではまず通らない
遠い遠い道を通り、何か「違う」と感じて
ムスッとして母の手を握る。


小さい小さい私には保育園が
何十キロも離れているんじゃないかとまで感じた


母も私のお得意の「ムスッと」に気付いていた



母の腰までも背丈のない
3歳の私にとって
園内はものすごく広く感じ
入口の門は簡易な柵なのに
すごく高く全てに圧倒されてしまった


鮮明に覚えている


園内には自分の背丈よりも
大きく元気な声を上げる子供たち



母の後に隠れた。