何が何だかわからないまま、私は黒板消しを拾い上げた。


床には白いチョークの粉が散らばっていた…





『俺の思い違いね』


「そ、そうだよ。
てか、真紘くんは好きな人とかいないの?」




話しを逸らしたくてぱっと出た言葉がこれだった。


私は黒板の文字を丁寧に消す事に集中したかった。


けど、何故か返事が気になる自分がいるのがわかった…





『いた……。
っていうのかな?
自分でもよくわかんないや』




そう答えた真紘くんに視線を変えると、またあの時と同じように悲しそうに空を見ていた…