冬だからか殺風景だけど、春は桜が咲いていて綺麗だった…


あれ?


ベンチに誰かいる…


あのジャケットは間違いない、真紘のだ。


一歩一歩近寄ると、私に気づいたのか振り返る真紘。




『いろ…は』




今度は真紘が一歩一歩近づいてきた。


目…腫れてる。


泣いたのかな。




『もう会えないのかと思った…』


「うぅん、私こそごめん。
連絡取れなくて…」




俯く真紘の肩が震えていた…


今度は私が抱きしめるんだ。


一歩踏み出して、真紘をぎゅっと抱きしめた…


冷え切った体…


寒いはずなのにマフラーも付けてないし。




『ごめん…俺、怖くて会いに行けなかった…』


「うぅん」





真紘は何も悪くないよ。


大丈夫だから…


泣かないでよ。


私の耳元で真紘の泣き声が聴こえる…


優しく真紘の背中を叩く。