あの写真…


部屋には二人で行ったデートの写真が、コルクボードに綺麗に貼られて残されていた…


あいつの写真なんてどこにもなかった。


部屋も、あの頃のまま…




『俺…奈々の気持ちちゃんと気づいてあげられなかった』




本当はあの日気づくべきだったんだ。


振られたあの日の奈々の様子が可笑しかった事に…


早く気づいていれば…





「違うよ…
碧斗はいつもそうだね。
私のテストの点が下がったり、成績が落ちたりするといつも自分のせいにしてた…」


『…』




それは俺の教え方が悪かっただけ。


奈々は十分頑張ってた。


学校が違うから授業の様子までは知らなかったけど。




「もう自分を責めないで…」





俺の腕から抜け出し、くるりと回って両手で俺の頬を包んだ…


奈々の目には涙があった。


瞬きする度流れる涙…