身体を起こそうとするにも、力が入らなかった。
「まだ寝てな。
今日、微熱で学校行ったからその疲れでグリ返したんだろ。」
姉貴は口が達者な方だ。
髪はショートだし背は高いし、あとがさつ…
だけど一番人を見て、人の気持ちを考えて行動する。
ベッドに仰向けになったまま、姉貴をみつめた。
「あんた、また自分から身を引いでしょ?
あの子の時もそうだった。
二股かけられてるの知ってて、別れず勉強教えてあげてたんでしょ。」
『なんでわかんだよ』
「わかるよ…」
俺はあいつと付き合って3ヶ月が経った頃から、二股かけられてるのには気づいていた。
でも受験生とだけあって、勉強が出来なかったあいつを見捨てられなかった。
その挙句、勉強を教えてもなかなか成績が上がらない彼女は第一志望校に落ちた。
そのタイミングで降られたからもう最悪だった。
「あんた、優しいからね。
もう次は自分に素直になんな?」
『…』
「それにあたし、尚哉と別れたんだ」
『はぁ!?
だって結婚間近だったんじゃ…』
23歳の姉貴には一つ年下の恋人がいた。
だが、姉貴の口が達者なせいか相手を攻めてばっかりだったらしい。
そして耐えきれなくなった尚哉さんは、別れを持ち出しすんなりOKしたらしい。
「また次を探すよ。
だから碧斗も次は諦めんなよ?」
『…だな。』
「明日は学校休みな?
倒れられたら困る。」
『わかったよ』
ほんと恋愛は難しい。
-碧斗 side end-