渚が胃癌の末期だと聞かされた日から、毎日欠かさず真紘は神社に行って神様にお願いしていた。



『“どうか渚の命が助かりますように…”って』


「真紘…」




それでもどうして神は意地悪なんだろうか…


毎日何も罪のない、いい人ばかりが亡くなっていく…

どうしてそんな人たちが死ななきゃいけないんだろうか。




「いつか真紘に好きな人ができて、その人との間に小さな命が産まれるとしたら、私は幸せだ…」


『何言って…』




渚は黙って首を左右に降る。


一番それがしたいのは渚だろ?


なのになんで違う人なんだよ。





「真紘がずっと苦しむのは嫌なの。
私は真紘の心の中に残してくれるだけで充分よ」




渚は大人に思えた。


まだ14歳なのに。