-穗堯 side-



彩葉が教室を後にして少しが過ぎた。


真紘…話すのか?


渚の事…。



小学校から俺と真紘と渚でいつも3人で遊ぶ事が多かった。


もともと体の弱い渚だったけど、それを忘れさせるくらい元気だった。


毎日笑って、みんなを笑顔にしていた渚…

だけど、中1の時に胃癌と判明して入院してからは、無理やり真紘の前で笑顔を作っていた。

好きな人に辛い顔は見せたくない…

毎日そう思っていただろう。



ある日、渚は俺だけを病室に呼び出した事があった。


だいたい話の内容は検討がついていた。


病室に一人いる渚は、もうあの頃の面影はなくなっていた…

目は赤く腫れ、体はやせ細っていた。




「穗堯…、真紘をお願いね?」




太陽の光が反射して、渚の目から流れたら一筋の涙がキラリと光って見えた。