「柊真くーん!!」

遠くから俺を呼ぶ声がした。
聞き覚えのある声。

「え!?斉藤さん!?」

「はあはあ...。ごめーん、ハンカチ落としたみたいでさ。
薄紫みたいな色にちょっと刺繍がしてあるんだけど、知らない?」

さっき、落ちてたハンカチは確か...ちょっと紫っぽいピンクだったかな。

「俺がさっきここら辺で見たのは、ピンクのこのハンカチだけ」

「え、あ、これこれ!!ありがとー!!
薄紫だよーこの色」

「え!?ピンク!!ちょっと紫のピンクだよ!?斉藤さん」

「ぜーったい薄紫!!
てか、紬でいーよ、斉藤さんなんて堅苦しい(笑)」

紬。
そう呼べたらいいんだけど、そんな勇気はなく。

「斉藤
でいい?」

としか、言えない。