ベッドから降りて帰る準備をしている彼。

これでほんとにお別れなのかと思うと動けなくなった。

すると彼はこっちに来て抱きしめてきた。

「え…」

「無理に笑わないでよ。
まだ君は俺の事好きなんでしょ?」

「うん」

「俺の好きだった奏はそんなこと我慢するような子じゃない。」

そう言われた途端声を出して泣き出した。

泣き止むまで抱きしめてくれて、最後だと言ったのにまたキスしてくれた。

…ほんとにずるい人。
諦められないじゃん。

ずっとこうしているとほんとに離れられなくなりそうで急いで涙を止めて

「もう大丈夫。ありがとう」

笑えたかな?

ドアの方に歩いていく彼。

手前でこちらを振り返りまた抱きしめようとする。

私はそっと胸を押し返した。