ショック性記憶喪失

そういう訳で、物心ついた頃から、母親と言うものを知らない優湊は、母に捨てられたショックで、母を始め、兄姉のこと、3歳以前の記憶を失ってしまった。

幼い子供の場合、自分で、抑え切れない程の悲しみや、苦しみを感じると、自分の心が壊れない為に、自己防衛機能が働いて、ショック性記憶喪失と言うもので、身を守る手立てにするのである。

子供の生きる力となる、母親の愛が、優湊には、もう、3歳の時点で、枯渇されてしまう。

それがきっかけで、優湊は、幼き頃から、哀しみの瞳で、遠い高い空を、見つめるかわいそうな子供時代を、送ることとなる。