こんな時期に転校とか、最悪。

注目されたくないわー。嫌すぎる。

馬鹿親父、なんで転勤するんだよ。

俺はあの何もない自然が好きだった。

なのに人の集まる都会に引っ越すとは。

俺は人と関わりたくないんだ。

やめてくれよ。

「転校生の樹坂康太君です!
みんな仲良くしてあげてね!」

いや、仲良くしなくていいから。
ほっといてくれ。

みんなの視線が突き刺さる。
興味を抱くのは当然か。
時季外れの転校生だし。

「樹坂君はあの席ね、柚花さんの隣」
言われるがままにそこへ行く。

あ、この子静かそう。よかった。

柚花さんはこちらに目も向けなかった。


これが最初の出会いだった。