雪音は夜、一言両親に伝えて、

頑張って逃げるらしい。

俺は雪音の家の前で待つ。

案の定、家から怒鳴り声が聞こえた。

「…雪音!お前どこ行くんだ!」

「友達のところ…!」

「待て!」

助けにいったほうがいいかもしれない。

インターホンを鳴らす。

ドタバタと音がして扉が開く。

「…なんか用か!?」

父親だった。

「あの、雪音いますか?」

「ぁん?雪音?」

「迎えに来ました」

「コイツかぁ〜?雪音の友達は…」

「そうですけど。てゆーか、貴方今
何してたんですか?雪音に」

「!?」

「警察呼びますよ」

「なんだよ!ガキが!」

「ばっちり録音しました。さっきの」

「なっ…!」

「雪音は預かります」

雪音は外に出ていた。

これでばっちり。

「行こうか、雪音」

「…うん!」

開放された少女の笑みは

俺の心を掻き乱した。

「!?」

なんだ、

心臓がむず痒い。