「結芽…」

ママがそう声を出す。

「ママ…」

「話を…させてちょうだい。
今まで放っておいてしまってごめんなさい」

きゅっと口を結ぶ。

そうだよ、この人たちは…

「…許せません…よ…
だって私を…!」

「それは本当に反省してるの!!
だから結芽、もう一度私たちと暮らしましょう?」

なに…言ってるの?

「…無理に決まっているでしょう?
一度私を…私、を、捨てた…のに…」

言いながら自然に目に涙が溜まったいく。

「嫌ですっ!!!もうあんな思いしたくない…!!勝手すぎよ!!」

「…じゃあずっと一条家に入り浸るつもりなの?」

え…?

ママの言葉に顔を上げる。

「そうよ結芽、あなたまだ高一でしょ?
あと最低二年はお世話になるのよ?
今までだって十分迷惑かけてるのにまだ迷惑かけるの?」

「そ…れは…」

「ね?私たちと来た方がいいのよ。
…誰にとってもね」

そう言われて言葉につまる。

そう…かもしれない…

今までも散々面倒を見てきてもらった。

それは親がいないから。

でも今はもうここにいる。

私のいる場所は…

「…迷惑かけた本人が何言ってんだよ」