少し経って奈津がはっとした様子で立ち上がる。

「結芽、ごめん!そういえば私今日早く帰らなきゃいけなかったんだ!」

「そうなの!?」

「うん!だから今日は帰るね!」

「わ、わかった、また明日ね!」

そう言うと奈津は鞄を持ってだーっと走って去っていった。

「奈津先輩っていい人ですね。
大人っぽい」

奈津が去ったあとを目で追いながらそう言う百合ちゃん。

「でしょ?自慢の親友なの」

そう言って微笑む。

「…いいですね。私親友っていなくって」

「え…そうなの?」

「はい、友達はいるんですけど…」

そう言って俯く百合ちゃん。