コツコツコツコツ…

ヒールの音がやけに大きく感じる。

風雅に手を引かれながら様々なことが頭の中でグルグル回っている。

ママって…言ってた、あの人。

ほんとに…?

ほんとにママ…?

なんで今更…ここにいるの?

話ってなに?

それに…パパは?

なんでママは1人だったの?

それに会いたかったなんて…

ぼーっとしていると、突然グイッと腕を強く引かれた。

「あ…」

スレスレのところでバイクが通っていく。

「…大丈夫か」

「…うん…」

多分風雅が聞いたのは今のバイクのことだけじゃない。

さっきの…ママのことだ。