結芽side

なぜかわからないけど足が進まない。

なぜかわからないけど目が反らせない。

なぜかわからないけど…前にいる女の人になにかを感じた。

風雅が私の手を取ったのがわかる。

「…行くぞ」

ドキドキする間も無く、風雅はスタスタまっすぐ進んでいく。

そしてすれ違うとき…

「結…芽……?」

え…

ピタッと足が止まった。

風雅はキッと声を出したその人を睨みつけて私の腕を引く。

「結芽…よね?結芽でしょ?」

なんで私の名前…

「ねえ、違う?あなた…結芽でしょ?」

「え…あの…「誰ですかあなた。人違いです」

え…?

風雅はぴしゃりとそう言うとまた私の手を引く。