あーイラつく。

ってかなんで俺もこんな気にしてんだよ。

別にどうでもいいはずなのに。

コツコツ…コツ…コツコツコツっ…

はぁ…

スポーツバックを掛け直して少しだけ速度を緩める。

ほんと、なんで気にしてんだろな…

コツっ………

ん?

不意に足音が消えて、結芽の方を振り返る。

「…ぇ……」

様子がおかしい結芽を見て呼びかける。

「結芽…?」

でも結芽は一点を見て動かない。

…嫌な予感。

俺は結芽が見ている方をゆっくりと振り返った。

「っ!?」

そこには間違えようのない……







結芽の母親がいた。