「これ、これ、すっごい見たかったの!!」

「そりゃよかったな」

風雅はそう言うと

ソファに寝そべって大きな欠伸をする。

でも…いいもん!

これほんとにほんとに見たかったんだもーん!!

私は無意識にニヤニヤしながら

その恋愛映画を見る。

…と。

話題のシーン、壁ドン!!!

"お前俺のこと好きなんだろ?"

"え…"

「きゃー!いけいけいっちゃえー!」

「…るっさ」

興奮する私とそれを冷めた目で見る風雅。

「ってかなにこれ脅迫してんの?」

「脅迫ぅ!?違うよ!もう!!
なんで脅迫って思うの!?」

「…見たとこ思いっきり脅迫だろこれ。ってかなんだよこのセリフ。
自意識過剰じゃねぇの?」

「そ、そんなことないよ!
壁ドンもこのセリフもかっこいいの!!」

そう言うと風雅は私の方を向いて

寝転んだままソファに頬杖をついた。

「じゃあこれ、もしやってんのがイケメンじゃなかったらどう思う?」

……………確かに。