-西園寺邸-

「下野…!!!」

下野は私の手を引っ張って私の一歩先を歩く。

「…」
「下野…!!!痛い…」
「…」

だが下野は黙々と歩くだけ。

「下野…!!!」
私は下野から手を振りほどいた。

「も、申し訳御座いませんお嬢様…!!!その、お怪我は…!!!」
「…大丈夫…下野どうしたの…???何で怒ってるの…???」
「私は怒って居るのではありません。お嬢様のご帰宅があまりにも遅いので心配で…」
「私なら大丈夫…」
「大丈夫ではありません !!!」
((ビクッ

下野は大きな声を出した。

「申し訳御座いません、大きな声を出したりして…しかし、お嬢様にもしもの事があったりしたら…私はお嬢様を失いたくは無いのです…」
「下野…」
「申し訳御座いませんお嬢様…今日はもうお休み下さい」
「しも…!!!」
「お休みなさいませ、お嬢様」

下野の言葉と共に閉まったドアは、
いつもより重く聞こえた。