夕日が窓から差してくる頃、
家のドアの前にかけられた札は
〝close〟の面が向けられる。


最後のお客さんをお見送りして
ドアが閉まると、少し重みを持った音の鈴がカラコロと鳴る。



私はこの音が好き。



「さぁて、今日も始めますか。」


ドアを静かに閉める。
その瞬間、くるりとこちらを振り向きながら手を一叩きして喝を入れているのが私のパパ。



「パぁパ、早くー」


部屋の一番奥の鏡の前で、
椅子に座って手を招いているのが...


私のママ。




ドアから入ると、左の壁には
鏡が並んでいる。


額縁の中に入ったような鏡に、
夕方の日差しが入ってきて眩しい。



鏡の前にはレッドワインの色をした革張りの椅子が並んでいて...




そんな並びの一番奥で
お母さんがニコニコしながら
お父さんが来るのを待っている。




私、本当にこの時間が大好き。