「あおい、伏せて!」


先輩の声でサッと身を屈めると、さっきまで頭のあった位置を日本刀が横切っていく。


ヒュッという音の後に、背後から忍び寄っていたゾンビの生首が地面を転がる。


「後ろっ!」


今度は私の声で、先輩が振り返りながら刀を突き出す。


グサッと眉間を貫かれたゾンビは、その活動を停止した。


群衆の怒号と、銃の発射音。


そこかしこでゾンビに喰われる人々。


自衛隊と一部の暴徒による同じ人間同士での争い。


ここは、再び訪れた地獄のまっただ中。


でも、もう、これで最後だ。自分に言い聞かせ、気力を奮い立たせる。


私達はひたすら【この世界】の向こうを目指した。