ついに男は瑠奈のかくれている茂みを
通り過ぎた。

瑠那はさっと出て
男の急所を蹴ろうとしたが……


男は振り返ってしまった。


「いたぞー!!」
男は叫ぶと
ニヤリと口に不気味な弧を描いた。

ぞくりと背中に寒気がさす。


男はすぐさま
呆然とする瑠奈の腕を掴んだ。

「はなせっ!」

瑠那は咄嗟に身をよじったが

男の手は緩むことはないどころかますます強くなった。



「観念しな。嬢ちゃん」

男の不気味な笑いに
瑠那は凍りつくしかなかった。