これだけは譲れない、ときっぱり言い切った。勝手に決めたけど…あいつらには組長命令とだけ言っておこう。
組長は「むむむ…」と悩んでいるように見えるが、答えは決まってるはず。
「条件」を飲み込まなければ、承諾しない。さっきの言葉にはそんな意味があって。組長は断られると困るはずだから。
色々な意味で。
─暫く経って、深いため息を吐いた組長。
「わかった。それでいい」
その言葉を聞き終わるか終えないかのところで腰を上げる。
この話が終わったのならここに留まっている必要もない。
「じゃあ」
余計な言葉を言い出される前さっさと退散せねば…
「そーだ」
わざとらしい仕草を見せる組長に怒りをおぼえる。
逃げ出すのは無理だ。周りをヤクザさんたちに囲まれてしまっているし。逃げられたら超最強。
「母さんが会いたいって………駄々こねてたよ。会っていけば?」
「面倒」
組長様々でも母親の駄々には負けるってことか。なら今度にでも試してみるか、泣き落とし。
言い方悩んでたな…なんてこと笑いを堪えながら、戸に手をかける。
「あ、そーだ」
「今度はお前?」
「あのさ、───────」