完全否定の態度を見せる。
組長は、困ったとでも言うように顎に手を当てた。
そっちが困ったのなら、こっちは精神的疲労で倒れそうだ。これはマジだ。
外野のヤクザさんたちがざわつきはじめて、その中の一人に声をかけられた。
「若葉さん、____引き受けちゃくれねぇでしょうか」
「へ?」
やけに厳つい、でも他の面々と違って、どこか優しそうなおじさん。
「組長は多忙で、ここらのことに目をかけられる時間は限られてます」
「…はぁ」
「俺らも、出来る限りの力添えはさせて頂きます。どうか、お願いできませんか」
おじさんが頭を下げたのとほぼ同時に、他の人たちも頭を下げた。
───これを断れば、相当な鬼畜として、ここらに名が広まりそうだ。
別にこれといった害はないけど…逆に承諾したらドバッときそうだ…
でも無闇に断ると後が怖い。
「断ったら綿は楽だけど、結局面倒なことになるでしょ?
…兄さん」
本来ならば、本当にお願いしたいなら自分で頼み込むべきだ。
今のはおじさんが気を使って言ってくれただけなのかもしれないけど。
睨みつけていれば、さも満足したような声が返ってきた。
「そうなるかもなぁ」
「…西麟だけでは明らかに無理。強制って言うのなら他も巻き込む。これが条件」