「智香ー!」


学食へつながる廊下の方から、
智香を呼ぶ声が聞こえてきた。


「正志、恥ずかしいから大声で叫ばないでよ」


「ごめんごめん」


正志とは、同じクラスの町田正志くん。
見てのとおり智香の彼氏である。


「正志くんは、智香にぞっこんだね」


「そりゃもう、こんな可愛い彼女を持てて俺は幸せだよ」


「もー、やめてよ!」


この2人と一緒にいると、
気温が100度くらい上がる気がする。


「あ、正志くん」


「うん?何?」


「今日、岡本先生に放課後職員室来るよう言われたから
智香と先に帰ってて」


「おう、了解!」


昼休みが終わりに近づいている、
予鈴が学校に鳴り始めた。