万桜が、案内されて着いた場所には小さな戦艦が浮いていた。

「これが、噂に聞くパンドラ艦?
 思ったより小さいのね……」

 万桜が、そう言うとシエラが笑う。

「見た目の大きさなんて飾りよ。
 この艦は、見た目よりも大きいんだから」

「どういうこと?」

 万桜の問いにシエラが、胸を張っていった。

「この艦はね。
 空間魔法が掛けられていて中は見た目よりも広いのよ」

 シエラが、そう言うとパンドラ艦のハッチが開いた。

「ほら、無駄話なんかしていないで中に入るぞ」

 焔が、そう言ってパンドラ艦の中に入る。

「そうね。
 詳しい話はパンドラ艦の中で話そう?」

 シエラが、そう言うと万桜はうなずいた。

 万桜は、パンドラ艦の中に入るとシエラたちがフェアリーを解除して立っていたので自分もレッド・ファングを解除し地に足をつけた。

 「青空がある」

 万桜が、パンドラ艦に入ってはなった第一声がそれであった。
 パンドラ艦。
 別名、移動要塞パンドラ。
 パンドラには、神の技術が込められており内装や中の広さを自在に操ることが出来る。
 また、外見も3段階の大きさに変えることが出来るのだ。
 そのパンドラ艦には、さまざまな人々が生活している。
 パンドラ艦は、要塞であり戦艦であり居住区でありひとつの島でもある。
 城ごと移動する要塞は数多く存在するが、島ごと移動する要塞は少ない。
 パンドラはその少ない要塞の中のひとつなのだ。

 暫くするとバネッサに乗ったバルドが帰ってきた。
 

「バルドさん!」

 バルドは、すぐにバネッサを解除し地面に足をつけた。

「もう倒したのですか?」

 万桜の問にバルドは笑う。

「ああ、あれくらいなら余裕だ……」

 バルドが、苦笑いを浮かべながらそう答えた。