「それはこれからどうにでもなる事だからいいんだって。それより、何かいい案ない?どうやればあの人を説得できるかのさ」


「……………分かった。一緒に考えてやる」


はぁっと大きなタメ息をつくと、河村は肩を竦める。

「ホント?」

「本当だ。ただし…交換条件として、式を持つこと」

「えーっっ!!」

裕一郎は不満の声を上げた。

「えーっじゃない。一方的な要求は呑めないからな。お前がこの条件を拒否するなら、俺も当然却下だ」

河村は人差し指を少年の鼻先に突きつけると、厳しい口調で言う。

「どうする?」

「う…」

「どうするって、聞いてんだ」



「……わ…分かったよ」



裕一郎は渋々承諾した。

「利口だな。式蝶…今日からお前の主は裕だ。何があっても傍から離れるんじゃないぞ」

手の平で羽根を休めていた式に命令すると、蝶はひらひらと舞いながら裕一郎の肩に止まり、そのままスッと姿を消した。

.