「それとも何か、気になるヤツでもいるっていうのか」

彼の言葉に、裕一郎はコクンと小さく頷いた。

「…パートナーにしたい人は、いる」


「えっ…マジ!?」


河村は裕一郎の発言に、驚きを隠せないようだ。

「お前にそう言わしめる相手は女子高生か、それとも女子大生か!?」

ガシッと肩を掴んで、彼は裕一郎を揺さぶった。

「し…社会人だけど」

「何ーっ、OLか!?お前どこでそんな女性と知り合ったんだ、なぁ、なぁっ…この俺を差し置いてっ!!」

「ちょ…久司、肩痛い…痛いって!!」

興奮のあまり力を入れ過ぎている事に気づかない河村に、裕一郎が必死で訴えるとハッと我に返ったようだった。


「あぁ、すまんすまん」


「もう。そんな余力があるなら、久司が今日の仕事の現場に行けば良かったんじゃないの?」

馬鹿力から解放され、裕一郎は肩をさすった。

そうすれば裕一郎が具合悪くなる事もなかったのだ。

だが、

「事務所も男2人じゃ寂しいからな、その子がお前とパートナー組んだらこの空間も華やぐだろうなぁ…あぁ、女の子〜」

可愛い部下の言葉も、今は耳に入らないらしい。

何を妄想しているのか、河村は宙に視線を向けてうっとりしている。

いい年した大人が人の話も上の空で体をくねらせる姿は、ある意味霊を体に溜め込むより恐ろしいと裕一郎の全身が総毛立った。
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