☆
「………………」
裕一郎が目を覚ますと、事務所の革張りのソファーの上だった。
ここへ帰ってきた安心感に気を失ってしまったらしく、あの後の記憶が全くない…。
もぞもぞと体を起こすと、前方にいる不機嫌な顔の男と目があった。
「吐いてスッキリしたか?」
「あ、…あぁ…うん…」
ばつが悪くて、裕一郎は目を伏せる。
「裕、こっち向け」
「……」
「聞こえないのか」
河村の声には苛立ちが混じっていた。
消化できない量の闇を体内に溜めるな…裕一郎の体を気遣う河村の、それは口癖である。
時々、事が酷くなる前に自己申告をし、彼の式神の力を借りて自身では消化できない闇を処理していた。
そうしなければ、彼自身の体に不調を来す。
今回のように…。
それがバレてしまったとあれば、そう簡単に目を合わせる事は今の裕一郎には出来ない。
「…やだ…」
ボソリ答えると、いきなり河村に顎を掴まれ無理やり顔を上げさせられた。
「!!」
「俺は今、最高に不機嫌なんだよ…何でか分かってるよなぁ」
「……」
普段、温厚な河村がこんな威圧的な態度はとらないだけに、反論は出来ない。
「あれほど体内に闇を溜めるなと言っただろう…ぶっ倒れたのこれで何度目だ?俺に頼むのが嫌なら、いい加減に自分の式神を持てよ」
「式神なんていらないって、前から言ってるじゃないか」
「式神に闇を食わせれば、こんな苦しい思いをしなくて済むんだ。そんな簡単な事が、なぜお前は出来ない?手続きが面倒だって言うんなら、俺の式を1つくれてやってもいいって前々から言ってんだろうが」
河村は懐を探ると、手のひらの大きさの蜘蛛を取り出した。
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「………………」
裕一郎が目を覚ますと、事務所の革張りのソファーの上だった。
ここへ帰ってきた安心感に気を失ってしまったらしく、あの後の記憶が全くない…。
もぞもぞと体を起こすと、前方にいる不機嫌な顔の男と目があった。
「吐いてスッキリしたか?」
「あ、…あぁ…うん…」
ばつが悪くて、裕一郎は目を伏せる。
「裕、こっち向け」
「……」
「聞こえないのか」
河村の声には苛立ちが混じっていた。
消化できない量の闇を体内に溜めるな…裕一郎の体を気遣う河村の、それは口癖である。
時々、事が酷くなる前に自己申告をし、彼の式神の力を借りて自身では消化できない闇を処理していた。
そうしなければ、彼自身の体に不調を来す。
今回のように…。
それがバレてしまったとあれば、そう簡単に目を合わせる事は今の裕一郎には出来ない。
「…やだ…」
ボソリ答えると、いきなり河村に顎を掴まれ無理やり顔を上げさせられた。
「!!」
「俺は今、最高に不機嫌なんだよ…何でか分かってるよなぁ」
「……」
普段、温厚な河村がこんな威圧的な態度はとらないだけに、反論は出来ない。
「あれほど体内に闇を溜めるなと言っただろう…ぶっ倒れたのこれで何度目だ?俺に頼むのが嫌なら、いい加減に自分の式神を持てよ」
「式神なんていらないって、前から言ってるじゃないか」
「式神に闇を食わせれば、こんな苦しい思いをしなくて済むんだ。そんな簡単な事が、なぜお前は出来ない?手続きが面倒だって言うんなら、俺の式を1つくれてやってもいいって前々から言ってんだろうが」
河村は懐を探ると、手のひらの大きさの蜘蛛を取り出した。
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