――――歩く為に動かそうとした片足が動かなかった。




 へっ!? な、な、なんで動かないの……!?



 
 どんなに足を前に動かそうとしても、コンクリートで足が固められてしまったかのように全く動かない。



 もう、着ちゃうじゃん……っ!



 覚悟して恐る恐る横を見れば、侵入してきた少女は既に暗い玄関に立っていた。


 ここまで来れば少女の姿が確認できた。



 
 目を引いたのはふわっとした漫画などでよく見るメイド服というもの。

 白が基調の服には、リボンなどところどころ赤が織り込められている。


 そして、頭の上には白いリボンのカチューシャ。



 陰がかかってしっかりと顔は分からないけど、睫毛が長く可愛らしい顔立ちだということが見えた。


 幸い、前に出した両手に凶器は握られていなかった。




 少女がペコリと頭を下げる。




「手荒な真似をしてしまいすいませんっ、柚葉さま!」