じゃあ家の中に入ってくるじゃん!



 慌てて家の外に逃げようとするも、ガクガク震える足が逃亡の邪魔をする。




 すぐにご丁寧に部屋のドアが閉まる音がし、走れなくなっているあたしとは対照的に、謎の少女の足音がだんだんと近づいていた。

 急いでいたような剣幕は消え去り、悠々と歩いてきている。



 あたしが逃げられなくなってること、知ってるのかな?

 逃げるって思わないわけ?



 やだぁ……どうしよう、殺されちゃうのかな?

 
 早く、逃げなきゃ。




 近づいてくる人影から目を背けぶ厚いドアを一心に見つめる。


 震える手でドアノブをカチャカチャ捻り、体の重心を傾けてドアを開くと。




 あ、歩けた……!
 


 捕まる前に早く走らなければ。




 玄関の外に足を踏み出した瞬間。






〔カルメヌ・ストッパーネ!〕