テレビの電源を消すときっちりリビングの電気も消して自分の部屋に向かう。
電気をつけると勉強机や放り出しっぱなしのピンクのリュックが照らし出された。
そのリュックから数学のワークを引っ張りだすと、やっていないページを開く。
あ、シャーペン。
忘れていた筆記用具をリュックから掴み出すと、開いてお気に入りの黄色のシャーペンを取って机へ向かった。
えー、えっとこれはマイナス六で、これは二四……。
全然ワーク進めてないや……。
珍しく黙々とワークの問題を解いていると。
コンコン
……? ノック?
首を右に回して後ろを見ると。
……あ、あれ……今後ろを向いた時、なにか見えなかった? 人、みたいな……。
背筋になにかが這い上がるような感覚がし、首を捻ったまま固まるあたしの耳に更なるノックが届く。
コンコン、コンコン