結構足が速いのか…もう視聴覚室についた片桐は、躊躇うことなく、扉を開けた。

音が漏れないように、頑丈な作りになっている扉を閉めると、

ライブハウスと化している音の空間が広がっていた。

ちょうど演奏が終わったところで、バンドの入れ替えが始まった。


次のバンドはドラマーがいる為、美佳はセット内から立ち上がると、何気なくステージから、上を見上げた。

すると、美佳の目に、客席と化した席達のちょうど真ん中に座ろうとする片桐の姿が飛び込んできた。

ステージの前列は関係者で埋まっており、片桐が座った中央が…客が座っている最後列となる。

美佳はスティックを握り締めると、ドラムセット内から飛び出した。

そして、真っ直ぐに階段をかけ上った。