ひとしきり…かわいい片桐を見つめた後、俺ははっとした。

「もうすぐ…ライブだ」

テンションの下がる俺に、片桐は目を丸くした。

「行きたくない」

ポロッと出た本音に、片桐はため息をつくと、俺に近づき、

「おい!そこの少年!わざわざ呼んでおいて、それはないんじゃあ〜ないのかな」

少しお姉さんぶった片桐の言い方に、俺は驚き…笑った。

「ごめん、ごめん…そうだよね」

俺は笑いながら、グラウンドの方に顔をやった。

すると、

いきなり頬に柔らかいものを感じた。

「え」

片桐が、俺の頬にキスをしたのだ。

突然のことに固まってしまった俺の耳元で、

片桐が囁くように言った。

「頑張れ」