うる覚えの英語で、俺は歌ったけど、

カラオケとは違い、案内してくるメロディーがない生演奏は、一度狂えば…曲を見失ってしまう。


心の中で舌打ちしながら、何とか遅れることなく、歌い切ったが、音程がバラバラだった。

「チキショー」

悔しがる暇もなく、

「もう一回!」

後ろで、美佳がカウントを取り、再び演奏を始めた。

「え」

驚いてる暇はなかった。

イントロが終わると、すぐに歌わなければならなかった。


何度も演奏する度に、精度を上げていくバックと違い、

俺は声が出なくなり、歌い切ることができなくなっていた。

もう30回以上は歌っている。

生音の音量に負けないように、張り上げなければならないから…喉の負担は、カラオケなんかと比べものにならない。