淡い色。


俺は、身を起こした。

学校じゃなかったら、絶対抱き締めていた。

すると、片桐は一歩下がり、

「とにかく…好きなの。どこで聴いたかも忘れたけど…あの曲が、好きなんだ」

初めて聴いたきっかけを思いだそうと、首を傾げる片桐に、

「もう…いいよ」

俺は笑いかけた。

そして、いつのまにか…優しい表情になり、片桐を見つめ、

「理由なんて、必要なかった。今、好きなんだから」

俺は、自分に言い聞かせていた。

過去はどうでもいいと。

だから、未来の話をしょう。


「片桐…」



「はい」

妙に真剣な俺の様子に、片桐は姿勢を正した。


「俺…今度、この曲をライブで歌うんだ。だから…見に来てほしい」