(学校なのに…)

止まらなくなりそうだ。

思い切り…抱き締めたくなった。


俺は何とか、この動揺を悟られないように、話を続けた。

「ど、どうして…好きなんだ?」


「どうして!?」

片桐は俺の質問に、頬杖をやめると身を起こし、驚いた顔をした。

そんなことをきかれると思ってなかったのだろう。

だけど、すぐに片桐は返事をした。

「理由はないわ」

「え!」

思いがけない答えに、俺は片桐を見た。

片桐はまたクスッと笑うと、 俺に近づき…至近距離から見上げた。

「理由なんていらないでしょ?好きになるのに」

俺は後ろに身を反らしながら、片桐の目を見つめていた。

綺麗な色だ。