「気付いてた?」

俺はちょっと恥ずかしくなって、片桐の視線から逃げた。

「まあね。こう何度もかけられたら」

片桐は悪戯ぽく、手摺に頬杖をつくと、赤くなっている俺を見た。

「す、好きなんだろ?」

ちょっとしどろもどろになる俺がおかしいのか…片桐は笑い、

「そう…好きよ」

片桐は少し、真剣な口調で言った。

好きという言葉に反応して、俺は片桐に視線を戻した。

真っ直ぐな瞳が、俺を見ていた。

俺は息を飲み込むと、 吸い込まれそうな瞳から目をそらした。


(やばい)

俺の心臓が激しく、動いていた。

俺は胸を抑え、

(キスしたくなった)

片桐から少しだけ離れた。