「はあ〜」

片桐の口から、少し本音のため息が出た時、

俺は渡り廊下に来た。


「何?心配事?」

少しだけ距離を開けて、渡り廊下の手摺にもたれた俺に驚きながらも顔を向け、片桐は微笑んだ。

「大丈夫…ありがとう」


「…」

すぐに、顔をグラウンドに向ける片桐。

大丈夫と言っても、どこか悲しみが漂っている片桐の横顔を見つめ、俺はしばし無言になった。

吹き抜ける風を、何度か見送った後、

俺は空を見上げた。

雲ひとつない…晴天だ。


「また…かけてたね」

「え?」

突然、話かけられて、俺は少し驚いた。

「あの曲」

「ああ」

俺は片桐に視線を向けると、こちらを見てクスッと笑う彼女がいた。