教室に慌てて戻ると、自然に席に着いている片桐に目がいったけど、

俺の周りから向けられる…三つの射ぬくような視線を感じ、

自分がしたことを思い出した。


(どうしょう…)

と一瞬思ったけど、 考えるのをやめた。

(まあ…いいか)

だって、あいつらは…片桐と話すことが駄目だと言ってるんだから。

(あいつらは、知らないんだよ。片桐の良さを)


俺は、授業の準備をしながら、片桐が後ろの席であることを呪った。

斜め前ならば自然と、片桐を見てられるのに。


そんなことを考えている時、

その斜め前に座る美佳が…悲しい目で、俺を見てることに、まったく気づかなかった。