俺は…片桐と少し距離を開けて、手摺にもたれた。

誰かに見られても、おかしく思われない距離を開けて。

少し…互いに無言になった。

すると、校内に響く音楽が耳に入ってきた。

さっきまでは、耳に入らなかったが、少し落ち着いたからだろうか。



「あ、あのさ〜。さっき…かかっていた曲知ってる?」

もう15分くらい前だけど、俺は片桐にきいた。

「アル・クーパーのジョリーって、曲」

その曲名を聞いた瞬間、片桐は驚いたように、目を見開いた。

「いい曲だろ?」

俺は、片桐の方を見た。

片桐は見開いた目を…ゆっくりと細めると、優しく微笑んだ。

「でも…」

片桐は髪をかきあげ、

「悲しい歌よ」