「あ、その…ご、ごめ」

「冗談よ」

謝ろうとした俺の言葉を、片桐は遮った。


そして、俺から視線を外し、昼休みのグラウンドを見た。

もうすぐ昼休みも終わるから、グラウンドから引き上げていく生徒が多い。

「な、何だ…冗談かよ」

片桐の横顔を見つめながら、俺は胸を撫で下ろすフリをした。


本当に…冗談だろうか。

俺に対しては、そうだろうが…自分自身に対しては違うような気がした。

触れることのできない…ガラス細工のような彼女に、

俺はゆっくりと近づいた。

(そう言えば…誰かといるのを見たことないな)


別に、取っ付きにくい訳ではない。

話してるところは、クラスでは何度か見た。

だけど…彼女は1人なのだ。