「何してるの?」

俺が少し緊張しながら、片桐に話かけると、

彼女はクスッと笑い、

「見ての通り…ぼおっとしてるだけ」

手摺から手を離し、背伸びをした。

「1人で?」

俺は、流れるような片桐の体の線に目がいった。

「そうよ」

背伸びを終え、俺を見た片桐から、

思わず視線をそらした。

「という…神谷君も1人じゃない。どうしたの?」


「た、たまにはさ…1人もいいかなって」

「たまにはねえ〜。いつも1人のあたしに対する嫌みですかな?」

「え?」

俺は驚き、片桐を見た。

少し睨むような片桐の目に、俺は焦ってしまった。