「素晴らしい!」

知らない曲だったけど、どうやら…このメンバーでのデビュー曲みたいだった。

どこかで聴いたことのある曲調に、

可愛さと、ほんの少し生意気さを強調する歌詞。


あっというまに、曲は終わった。

「完璧だよ!」

音の余韻の中で、まだ興奮しているプロデューサーの横を、美佳はすり抜けた。


「え!」

スタジオを出ていく美佳に気付き、慌ててプロデューサーは追いかけた。

「橘くん!どこへ行くんだい」

美佳は後ろを振り返らず、出口に向かって廊下を進んでいく。

「橘くん!」

プロデューサーの声を無視して。